経営者にこそ知ってほしい「確定拠出年金」の実力
近年、「老後資金2000万円問題」や物価上昇などの影響もあり、従業員の資産形成を支援する企業が注目されています。中でも、「企業型確定拠出年金(企業型DC)」は福利厚生の強化や従業員満足度の向上にとどまらず、社会保険料や税金の負担軽減にもつながる制度として、経営者の間でも関心が高まっています。
この記事では、「確定拠出年金がなぜ社会保険料の最適化につながるのか?」「具体的なメリットと注意点」「導入する企業側の本当の利点」について、わかりやすく解説していきます。
確定拠出年金とは?(初心者向けの基礎解説)
確定拠出年金(DC)は、企業や個人が毎月一定額の掛金を拠出し、それを従業員本人が自分で運用していく年金制度です。
大きく分けて2種類があります:
- 企業型DC(企業が掛金を負担する)
- 個人型DC(iDeCo:個人が自ら掛金を拠出)
この記事では「企業型DC」に焦点を当て、企業が導入する際の税務・社会保険料面での利点を紹介します。
社会保険料が軽減される仕組みとは?
給与に含まれない=保険料計算の対象外!
企業型DCの最大のメリットの一つが、「掛金が給与として扱われない」こと。
つまり、従業員に支払う月給が30万円で、そのうち2万円を企業型DCの掛金として拠出した場合、社会保険料は28万円分を基に計算されるのです。
この仕組みにより:
- 企業側の社会保険料負担が軽減
- 従業員側の手取りが実質的に増加(将来資産として積み立てられる)
というWメリットが発生します。
【例】企業が1人あたり月2万円を企業型DCで拠出した場合
従業員10人分だと年間約48万円以上(※)の社会保険料コストを削減できる可能性があります。
※実際の計算には、報酬月額や保険料率などを反映する必要があります。
税制メリットも大きい!掛金は全額損金算入OK
企業が企業型DCで支払う掛金は、法人税の計算上「全額損金算入」が可能です。
これは、通常の給与や賞与と同様に経費として扱われるため、節税効果も高いということ。
さらに、従業員側も:
- 拠出された金額に所得税・住民税がかからない
- 将来の運用益も非課税
という、非常に有利な制度設計となっています。
なぜ今、企業型DCが中小企業にこそ必要か?
従来、企業型DCは大企業向けの制度という印象が強く、中小企業では導入が進んでいませんでした。しかし最近では:
- 中小企業向けの導入サポート制度(中小事業主掛金納付制度)
- 導入コストの低下
- 労働市場での福利厚生アピールの必要性の増加
といった背景から、中小企業でも導入しやすく、効果も大きい制度になっています。
とくに、人材確保が難しい中で「社員の資産形成を支援する会社」というイメージは、求職者からの好印象にもつながり、採用面でも有利になるケースがあります。
導入時の注意点とよくある誤解
❌「従業員が運用に失敗したら責任を問われる?」
→ 企業は運用結果に対して責任を負いません。ただし、制度の説明やサポート体制の整備は必要です。
❌「制度設計が難しそうで踏み出せない」
→ 最近では社会保険労務士や専門機関が設計〜導入支援〜継続運用をトータルでサポートしています。
❌「給与を減らすわけではないから、コストが増える?」
→ 短期的には若干の支出増加となるケースもありますが、社会保険料・税制面での優遇を踏まえると実質コストは抑えられます。
ビジネスパートナーが提供するサポート内容
社会保険労務士法人ビジネスパートナーでは、中小企業向けに以下のようなトータルサポートをご提供しています:
- 導入前のヒアリングと最適制度設計
- 導入時の社内説明会・資料提供
- 金融機関・運用会社との連携
- 継続的なメンテナンス支援
制度を単なる「福利厚生」に終わらせず、企業価値の向上につなげる活用方法をご提案しています。
確定拠出年金は“コスト”ではなく“投資”
確定拠出年金は、従業員の老後資産形成を支援しながら、企業の社会保険料負担の軽減や税制メリットをもたらす制度です。
「福利厚生の充実」「採用力の向上」「退職金制度の代替」「節税」といった観点で、企業型DCはこれからの中小企業経営におけるカギとも言えます。
導入に迷ったら、まずは専門家へご相談ください。
社会保険労務士法人ビジネスパートナーが、御社の未来づくりを全力でサポートいたします。
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