資産運用を始める人が増えています。資産運用に興味を持ちいろいろ調べていくと「資産形成」という似た言葉を見かけることがあると思います。今回は、資産運用に初めて取り組む方に向けて、資産形成と資産運用の違いについて、資産形成が必要な理由について紹介します。
資産形成と資産運用の違い
「資産形成」と「資産運用」という言葉を目にしたことがあると思います。似ている言葉でどちらも個人の資産に関係するものですが、実際は少し意味が違います。資産運用は、資産=お金を運用すること、つまり運用するお金がないとできません。資産運用をするには、まずは元手となるお金をつくる、つまり資産形成をする必要があります。
資産形成とは、資産を一から築いていくことです。仕事をして収入を得る、節約して元々かかる予定だった出費を減らし手元のお金を増やす。ある程度まとまった資金ができてようやく、その資金を運用するという段階に入ります。もちろん少額のお金でも運用することは可能です。少額でも個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)や企業型確定拠出年金(企業型DC)を活用した積立投資をするなど資産形成の段階でも運用はできます。まとめると、資産形成はお金を貯めたり運用することで十分な資産を形成していくことを意味しています。
一方、資産運用とは、形成した資産を株式投資や不動産投資など様々な投資方法で運用し、効率的に増やすことです。投資によって得られる利益は投資金額に比例して大きくなります。例えば株価が20%値上がった場合で考えてみましょう。話をシンプルにする為に税金などは省きます。投資金額が10万円だった場合、株価は12万円になり利益は2万円です。投資金額が100万円だった場合、株価は120万円になり利益は20万円です。投資金額が大きければそれだけ利益も大きくなります。
以上を踏まえ、資産形成と資産運用の違いについては、資産形成の一手段として資産運用を位置づける見方もあれば、段階の違いとしてとらえる見方もあります。
運用するには、株であればその企業を分析したり、日々の値動きや経済状況を確認したりとそれなりに手間暇がかかります。そういった労力を考えると、ある程度まとまった資金を中長期的に運用していく方が効率的に運用できると言えます。
資産形成が必要な理由とは
仕事で得た収入を全部使ってしまうとお金は貯まりません。その月は生活することができ、収入があるうちは暮らせるかもしれませんが、一般的には年齢が上がるに連れて出費も増えていきます。住宅購入や子どもの教育資金など訪れるライフイベントに備えて資産を準備する必要があります。
老後は、形成した資産(年金含む)を取り崩すことで生活することになります。日本は少子高齢化が進んでおり、将来の社会保障制度が十分機能するかが確実ではない状態です。現状でも年金受給年齢や後期高齢者の医療費負担の引き上げといった変化が起こっており、日本の社会保障制度の未来はより厳しくなることが予想されます。この先、増税など可処分所得の減少も考えられます。老後の年金受給だけに頼ることなく、個人でも将来に向け資産形成をしていくことが将来の安心につながります。
資産形成だけではまとまったお金をつくることは難しいのか
資産形成でまとまったお金をつくることは可能です。年収が高い人ほど労働収入だけで資産は形成しやすいと言えます。資産形成をすべき金額は、それぞれの家庭によっても異なります。年収や家族構成にもよりますが、労働収入だけで十分な資産形成ができる人もいます。
ただ、労働収入だけでは将来必要な資産に満たない場合もあります。その様な時には資産を効率的に増やす資産運用をする必要があります。仕事をして収入を得て資産形成をしながら、必要な額を運用していきます。投資によるリスクを理解した上で、資産の一部を運用することで効率的に資産を増やすことが可能です。
まとめ
「資産形成」で築いた資産を「資産運用」で増やしていくという流れを踏まえて、将来必要となるお金と投資について考えていきましょう。