企業型確定拠出年金は会社が掛金を拠出し、従業員が運用することで資産を形成していくものです。原則60歳以降に、運用してきた資産を給付金として年金や一時金で受け取ることになります。確定拠出年金法では、自己破産したとしても差押することは禁止されています。
なので、万が一年金受給前に自己破産をしても、将来受け取れなくなるということはありません。また、年金受給中であっても、年金受給が停止されることはありません。退職金の場合には、破産手続き開始時に退職金試算額を申告し、1/8は差し押さえられることになるので、企業型確定拠出年金を退職金制度として利用していたとしても、受給が停止されないということを考えると大きな違いでしょう。
差押禁止財産とは
差押禁止財産とは、差押えにより回収をすることが禁止されている財産のことで、「差押禁止債権」と「差押禁止動産」に分けられます。それぞれについて代表的なものは以下のとおりです。
差押禁止債権:
・手取り給与(給与額面額から税金等を控除した額。賞与、退職金、退職年金を含む)の4分の3、または33万円を超えない金額
・国民年金、厚生年金、生活保護給付金、児童手当などの受給債権 など
差押禁止動産:
・債務者の生活に不可欠な物資や道具
・債務者に思い入れがあり、売値がつかないと判断されるもの
・宗教的な信仰対象 など
たいていの財産は借り入れの際に社長個人が連帯保証人になります。そして、資金繰りが出来なくなったときに破産という選択肢を取ると借金の返済に充てられてしまいます。
そのような意味で企業型確定拠出年金は、最後の砦として個人資産を守ることが出来る制度ということも出来ます。
また、従業員は失業保険で守られていますが、社長や役員は失業保険が無いという特徴からそのリスクカバーとして企業型確定拠出年金は備えていると考えることもできます。
まとめ
たとえ企業に万が一のことがあっても、企業型確定拠出年金を導入することで社長や役員の生活は守られて、定年の時に十分な退職金を受け取ることが出来れば、安心して後任に会社を任せることが出来るといえます。