株式会社や合同会社などの法人は、法人税を納める義務があります。経営者の中には、税負担をできるだけ抑えて、事業に使えるお金を少しでも増やしたいと考えている方もいるのではないでしょうか。節税につながる方法を知っておくことは、継続的に事業を行ううえでとても大切であるといえます。
ここでは、税金対策に効果的なテクニックを詳しくご紹介させていただきます。
法人税とは?
法人税は、法人の事業活動によって得られた所得に対して課せられる税金です。税金は、国に納める「国税」と、都道府県や市町村に納める「地方税」に分類され、法人税は国税にあたります。法人の所得に課せられる税金には、国税である法人税の他に、地方税である法人住民税、法人事業税があり、これらをまとめて、法人税等と呼ぶことが一般的です。
法人税は、定款(ていかん)で定めた事業年度ごとに計算し、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に、税務署へ申告・納付を行う必要があります。
法人税を節税するためには、会社の規模や事業内容など、さまざまな点に留意することが必要です。自社の規模や事業内容に合わない方法をとっても効果が得られないため、自社に合う最適な方法を選ぶことが大切だといえます。
ここでは、法人税の節税対策としておすすめのテクニックを解説していきます。
1.役員報酬を損金計上する
法人税の節税対策として、役員報酬を損金計上することが挙げられます。法人の場合、経営者は給与ではなく役員報酬を受け取りますが、役員報酬は、定期同額給与などの一定の要件を満たせば、経費のように会社の利益から差し引ける、損金として計上することが可能です。役員報酬を損金計上できれば、その分、法人税を節税することができます。
ただし、法人税を減らそうとして役員報酬を増やすと、役員個人の所得税が増加し、トータルでの納税額はかえって増えてしまうというケースがあります。そのため、役員報酬は、税理士など専門家と相談したうえで適正な金額を決めることが大切でしょう。
なお、役員報酬の金額は原則として1年間は固定であり、金額の決定や増減させる際は株主総会で決める必要があります。また、役員報酬を損金計上する場合は、根拠資料として株主総会での議事録を作成し、残しておかなければいけません。議事録は税務調査などで確認される場合がありますので気を付けなければいけません。
2.社員旅行や健康診断を制度化する
節税対策の中には、社員旅行や健康診断を制度化することで、福利厚生費としてかかった費用を計上する方法もあります。ただし、社員旅行を福利厚生費とみなすには、会社負担金額がひとり10万円以内、4泊5日以内、従業員の50%以上が旅行に参加といった、所定の条件を満たさなければいけません。
また、従業員の健康診断にかかった費用も同様に、従業員全員を対象にしていることや、かかった費用を会社が医療機関に直接支払うことなど、満たすべき条件があります。
3.経営者が所有する自家用車を社用車にする
経営者が所有する自家用車を社用車に転用すると、自家用車として使用していた減価償却費相当額を取得金額から引いた分を、減価償却費として経費に計上できます。また、社用車であれば、燃料費や自動車保険料、車検費用なども経費扱いにすることが可能です。
なお、社用車をプライベートでも使用するという場合は、社用車の利用規程を作成し、一定の利用料を会社に支払うなどのルールを決めておく必要があります。
4.企業型確定拠出年金(企業型DC)
企業型DCの事業主掛金は全額損金(=必要経費)となっており、加入者に対して給与課税は行われないという所から所得税や社会保険料が削減される税制優遇があります。
給与の上乗せで受け取る場合と比較すると、企業型DCの税制優遇というのがよくわかります。
また、積立て段階においては個人別管理資産の運用によって運用収益が発生しますが、これらは給付金を受け取るまでの間は非課税という取扱いになっています。
そして、企業型確定拠出年金を年金払い(分割払い)で受給する場合には、公的年金等に係る雑所得として扱われ、公的年金等控除の適用対象となります。その一方、一時金で受給する場合には退職手当等とみなして、退職所得として扱われます。この場合、確定拠出年金の加入者期間を勤続期間とみなして退職所得控除が適用されます。
結果として、企業型確定拠出年金は老後の積み立てという側面を持つ一方で、退職金という面もあることから従業員の福利厚生に繋がる可能性がある制度といえます。
まとめ
税負担をできるだけ抑えて、事業に使えるお金を少しでも増やしたいと考えている経営者様のために、役員報酬を損金計上する方法や社員旅行や健康診断を制度化する方法などの法人税の節税についてご紹介させていただきました。その中でも企業型確定拠出年金という制度は、加入者に対して給与課税は行われないという所から、所得税や社会保険料が削減される税制優遇があり、老後の積み立てという将来の備えと退職金という福利厚生に繋がる面も備えていることからメリットが大きいといえます!