企業型確定拠出年金(企業型DC)制度を導入するにあたって、企業担当者が頭を悩ませる1つが、“どこに相談・運営管理を任せたらよいのか?”でしょう。企業型DC制度を適切に運営していくには、どんな運営管理機関にお願いするのかは、非常に重要です。
運営管理業を営むことのできる法人
運営管理業を営むにあたっては、主務大臣への登録が必要になります。銀行やその他の金融機関は、各業法の兼業禁止規定にもかかわらず、主務大臣の登録を受けて運営管理業を営むことが出来ます。
また、一般の法人でも主務大臣に登録することによって運営管理業を営むことが可能です。したがって、年金コンサルティング会社などの関連業種はもとより、運営管理業務を目的に設立された専門会社、さらには確定拠出年金を実施する企業は、運営管理機関に委託せずに自ら運営管理業務を行うことが可能です。
なお、登録を受けようとする法人は、商号、住所、資本金額、役員の氏名および住所、営業所の名称および所在地、業務の種類および方法、他に行っている事業の種類、その他の事項を記載した登録申請書を主務大臣に提出することとされています。 令和3(2021)年の6月の段階で221社の運営管理機関が登録済みとされています。
運営管理機関の行為準則について
確定拠出年金法では、運営管理機関の行為準則として、加入者等に対する忠実業務や個人情報の守秘業務に関する規定が設けられています。また、加入者等との利益相反が起こらないように、運営管理機関には次のような行為が禁止されています。
①契約の締結に際し、加入者等の損失の補填を約束する
②契約の締結に際し、加入者等に特別な利益の提供を約束する
③実際に生じた加入者等の損失の補填または利益の追加の為に、財産上の利益を提供する
④契約締結を有利にするために、重要事項について故意に事実を告げず、または不実のことを告げること
⑤自己や加入者等以外の第三者の利益を図る目的で、特定の運用の方法を加入者に提示すること
⑥提示した運用の方法の中で、特定のものを加入者に対して勧めること
⑦その他、加入者等の保護に欠け、業務の公正を害し、または信用を失墜させるおそれのある行為
運営管理機関の業務
運営管理機関のうち、記録関連業務を行う運営管理機関のことを記録関連運営管理機関といい、同様に運用関連業務を行う運営管理機関のことを運用関連運営管理機関といいますが、これら2つの運営管理業務を兼務することは可能です。 また、運営管理機関はその業務の一部を他の運営管理機関に再委託することができますが、自己の名義で他人に運営管理業を営ませる名義貸しは禁止されています。
また、運営管理機関との契約を行う場合、記録関連業務と運用関連業務を包括的に委託する契約方式(バンドル型)と、これらを区分して別々に委託する契約方式(アンバンドル型)があります。日本の場合、バンドル型の契約であっても多くの場合、膨大なシステム開発コストを要する記録関連業務については、共同設立のレコードキーピング会社に再委託する等の形での役割分担がなされています。
まとめ
ここまで説明させて頂いた通り、企業型確定拠出年金(企業型DC)の運営管理機関は221社が登録済みとされていることから多くの金融機関等が運営を行っています。
たくさんあるからこそ、どの運営管理機関を選んでも大した違いはないのでは?という声もありますが、適切な運営管理機関選びは従業員の資産形成に大きく影響するものです。運営管理機関によって商品のラインアップ、手数料など特徴がそれぞれありますので、複数の運営管理機関を比較検討しながら選択することをおすすめします!
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